用語集

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Modern Carbon

現存する陸上生物やその分泌物が示す14C濃度をもつ炭素。


Dead Carbon

大変古く、試料中の14Cが全て放射性崩壊し、残っていない炭素。
石油等はこれに該当する。


pMC

Percentage of Modern Carbon や Percent Modern Carbon の略。
1950年の炭素濃度を100とした時の14C濃度を表す単位。


14C半減期

5730年がもっとも正確な14Cの半減期と考えられているが、現在では5568年を半減期として年代測定結果を報告することが義務化されている。
5568年はLibbyが1951年に最初の年代値リストを報告したときに用いた半減期である。
それ以降に報告される多数の年代値との比較において不都合が生じないように現在まで継続してこの半減期が使用されている。


β線計数法

放射性同位元素の崩壊は、崩壊時に発生する放射線の数が崩壊前のもともとの同位元素の数に比例し、半減期に反比例する原理に基づく。
発生する放射線(14Cの場合にはβ線)の数を測定することで、もともとの放射性同位元素(14C)数を算出できる。
アメリカのLibbyが1950年に開発した方法である。
1gの炭素には、600億個もの14Cが含まれるが、β線は1分間に僅か14個しか放出されない。したがって、安定した年代値を得るには、試料量と測定時間が多く必要となる。


δ13C

13Cは炭素の1%を占めるが、光合成などの生化学反応によってその割合が変化する。
標準物質に対するずれを千分偏差(‰)で示した値がδ13Cである。
一般に、大気中二酸化炭素が-7、土壌中二酸化炭素・陸生植物が-25、貝殻が0、堆積性有機物や石油が-28に近い値を示す。
放射性炭素年代測定においては、δ13C補正を行うことでより正確な値が得られる。


標準試料

14C測定の正確度の検定として、14C濃度が既知の試料(標準試料)の測定が実施される。
また,AMS測定の際にはこれを基準として他の試料の14C濃度を算出する。
ANU Sucrose:オーストラリアのキャンベラにあるAustralian National University (ANU)で作製された標準試料である(pMC=150.60,δ13C=-10.80)。
NIST Oxalic Acid (OxII): National Institute of Standards and Technology (NIST;米国国立標準・技術研究所)によって作製された標準試料。
第2次世界大戦後に生育した植物体から作製されたものがシュウ酸標準体SRM4990C (pMC=134.066,δ13C=-17.80)である。
Cシリーズ:IAEA(International Atomic Energy Agency;国際原子力機関)が提供している標準試料。
C1からC8まである。


AMS法

Accelerator Mass Spectrometry(加速器質量分析)を用いて,試料中に含まれる14Cの数を直接測定する方法である。
試料中の炭素をイオンにして加速器を使って高エネルギーにすることで、微量な同位体比の弁別を可能にする。
β線計数法に比べて、少量の試料を短時間で測定することが可能である。

放射性炭素年代測定

AAA処理(Acid Alkali Acid)

酸処理、アルカリ処理、酸処理によって、試料の内面的な不純物を取り除く処理方法。
地下水によって運ばれて析出した無機炭素を含む炭酸塩を酸処理によって除去する。
また、土壌中の遺骸がバクテリア等によって分解・合成されて生じるフミン酸・フルボ酸をアルカリ処理によって除去する。
フミン酸・フルボ酸は水に溶解するので、地中を移動し、試料に付着する可能性がある。
2回目の酸処理にはアルカリ処理によって生じた炭酸塩を除去する目的がある。


海洋リザーバー効果

海水は長時間をかけて循環する。
海洋生物は、海水に含まれた炭素を間接的に摂取することになるため,海洋生物が示す炭素同位体比は海洋に含まれる古い炭素に影響される。
これを海洋リザーバー効果という。
より正確な年代を求めるためには生息していた地域を限定し、暦年較正曲線の差を補正する必要がある。


暦年較正

放射性炭素年代測定には、

  1. 半減期が5568年
  2. 過去の大気中の14C濃度は一定
  3. シュウ酸を標準に用いる
  4. δ13C=-25に規格化する
  5. 1950年を基準年とする

等の5つの前提条件がある。
しかし、半減期は5730±40年がより妥当な値と考えられており、大気中の14C濃度も一定ではないことが確認されている。
このような実年代(暦年)との隔たりを補正するのが、暦年較正である。
複数の暦年較正プログラムが公表されている。


暦年較正の入力

暦年較正の入力では以下の項目に注意する必要がある。

  1. 炭素同位体分別の補正(δ13C補正)を施した14C年代値を暦年代較正プログラムにインプットする際、下一桁を丸め込んでない値を入力するのが望ましい。
    ※貝化石試料などの海産物試料では、炭素同位体分別の補正で14C年代値が大きく変わるが、この補正した年代値をインプットする必要がある。通常、海産物試料では、海洋リザーバー効果があり、炭素同位体分別の補正をしない値の方が、実際の年代値に近いとされ、活用される。
  2. 14Cの半減期は、5568年を用いなければならない。
  3. 1950年代半ば以降に形成された試料は、核実験起源の14Cにより、14C濃度が高いので、暦年較正はできない。

暦年較正使用上の注意

暦年較正年代を使用する際は以下の点に注意する必要がある。

  1. calAD, calBC, calBP(AD1950年から遡った暦年数)を付す。
  2. 使用した暦年較正プログラムを明記する。
  3. 較正年代値は特定の暦年ではなく、特定の年代幅に含まれる確率の値である。
    土器付着炭化物の較正年代値を活用する際に、土器型式年代幅と勘違いして解釈される事例が時折みられるので注意を要する。
  4. 暦年較正データは、現状では不完全なものである。
    例えば、INTICAL98では、樹木年輪を用いた1年輪毎の測定はAD1955~1551。11850BP~AD1551は10年輪単位での測定。それ以前は、サンゴや海洋底の縞状堆積物を用いたデータが使用されるが、測定数は限られる。これらのプログラムはデータが拡充され、随時更新される。

暦年較正プログラムのリンク
各種プログラム: http://www.radiocarbon.org/Info/index.html

バイオマス度測定

バイオマス

もともと、生態学で生物(bio)の量(mass)を示す用語。化石燃料を除く、動植物に由来する有機物である資源のことをいう。


カーボンニュートラル

バイオマスに含まれる炭素分は、バイオマスがその成長過程において大気中の二酸化炭素を固定したものであり、バイオマスを再生産する限りにおいては、バイオマスを燃焼しても大気中の二酸化炭素は増加しないという特性。


バイオマスプラスチック

原料として植物などの再生可能な有機資源を使用するプラスチック。


バイオPE

原料として植物などの再生可能な有機資源を使用するポリエチレンの略称。


バイオPET

原料として植物などの再生可能な有機資源を使用するポリエチレンテレフタレートの略称。


バイオPP

原料として植物などの再生可能な有機資源を使用するポリプロピレンの略称。


バイオマスマーク

一般社団法人日本有機資源協会が運営しているマーク認証制度。


バイオマスプラマーク

日本バイオプラスチック協会が運営しているマーク認証制度。

薬物動態分析

薬物動態

生体に投与された薬物がどのように吸収され、組織に分布し、小腸や肝臓中の酵素により代謝され、排泄されるのかを解析する。この吸収(absorption)、分布(distribution)、代謝(metabolism)、排泄(excretion)を総称してADMEとよび、これらの濃度と速度過程を記述する領域を薬物動態(PK pharmacokinetics)とよぶ。


非臨床試験

医薬品の研究開発において、動物を用いて薬効薬理作用、生体内での動態、有害な作用などを調べる試験。非臨床試験の結果、有効性が期待でき、安全性にも問題がないと考えられた場合にヒトで行うのが臨床試験である。非臨床試験は、有効性と安全性を評価・証明するための科学的データを提供するものであり、臨床試験へと進むために必要であるとともに臨床における有効性と安全性を裏づけるために重要である。近年では動物試験に限らず、細胞培養やコンピュータ上のシミュレーションを用いた医薬品候補化合物の評価も試みられており、これらも非臨床試験の範疇に入る。


臨床試験

医薬品や治療技術などの人間への影響を調べる科学的試験。評価される物は薬剤に限らず、医療機器、外科的手技なども含まれる。薬事法上の製造販売承認を得る目的で、医薬品・医療機器の有効性・安全性をヒトで評価するための臨床試験が治験であり、そのルール、方法、報告書のまとめ方なども薬事法やさまざまな行政ガイドラインによって規定されている。医薬品や治療技術などの人間への影響を調べる科学的試験。評価される物は薬剤に限らず、医療機器、外科的手技なども含まれる。薬事法上の製造販売承認を得る目的で、医薬品・医療機器の有効性・安全性をヒトで評価するための臨床試験が治験であり、そのルール、方法、報告書のまとめ方なども薬事法やさまざまな行政ガイドラインによって規定されている。臨床試験はその目的から、安全性や体内動態を中心に調べる臨床薬理試験(第一相)、安全性を確認しつつ有効性の瀬踏みをする探索的臨床試験(第二相)、それまでに得られた有効性・安全性の仮説を検証する検証的試験(第三相)に分類され、通常この順番で展開される。また、市販後に行う市販後臨床試験(第四相)は、承認された適応、用法・用量の範囲内で行うため、治療的使用に分類され、有効性と安全性にかかわるさらなる情報の収集を目的とする。


マイクロドーズ試験

ヒトにおいて薬理作用を発現すると推定される投与量(以下「薬効発現量」という。)の 1/100 を超えない用量又は100μg のいずれか少ない用量の被験物質を、健康な被験者に単回投与すことにより行われる臨床試験。