会社概要 分析技術 業務内容 お問合せ&FAQ リンク HOME

2010年9月 第5回「年代測定と日本文化研究」

9月25日、26日に、ホテルサンルート白河にて、第5回のシンポジウムが開催されました。
おかげさまで、今回も1日目に58名、2日目に55名と多くの方々にお集まり頂きました。
詳細は、下記シンポジウム後記に・・・

シンポジウムに当たり作成しました予稿集を販売しております。
ご講演頂いた各方面の専門家を中心に、意欲的な論考が寄せられました。

予稿集(A4版) 1部1000円

お振込先銀行口座
みずほ銀行 向ヶ丘支店
口座種類:普通 口座番号:3016775
名義:(株)加速器分析研究所

送料は無料ですが、お振込手数料はお客様にご負担をお願い致します。
入金確認後、発送致しますので、お手数ですがよろしくお願い申し上げます。

お問い合わせ先
大会事務局:(株)加速器分析研究所 本社
〒214-0013 神奈川県川崎市多摩区登戸新町129-1 
      TEL:044-934-0020/fax:044-931-5812/e-mail:office@iaa-ams.co.jp
世話人事務局:(株)加速器分析研究所 白河分析センター
〒961-0835 福島県白河市白坂字一里段6-270
      TEL:0248-21-1055/fax:0248-21-1057 /e-mail:hayase@iaa-ams.jp

ご希望の方は本社営業部(電話:044-934-0020または、メールフォーム)までお問合せ下さい。


会場風景

1日目の様子

▲会場風景

▲開会挨拶(事務局代表 IAA社長)

▲講演1:小元久仁夫先生

▲講演2:白井正明先生

▲講演3:宮地良典先生

▲講演4:松本秀明先生

▲講演5:石丸恵利子先生

▲質疑応答

▲質疑応答

▲施設見学

▲施設見学

▲懇親会
2日目の様子

▲講演6:藤本潔先生

▲講演7:根岸洋先生

▲講演8:斎野裕彦先生

▲講演9:滝沢規朗先生

▲講演10:坂本稔先生

▲質疑応答

▲会場風景

▲会場展示

第5回『年代測定と日本文化研究』シンポジウム後記

 9月25日、26日に、ホテルサンルート白河にて、第5回のシンポジウムが開催されました。おかげさまで、今回も1日目に58名、2日目に55名と多くの方々にお集まり頂きました。

 昨年のシンポジウムでは、近年、年代に関する議論が活発な縄文時代から弥生時代への移行期を取り上げました。そこで、今年はこれに後続する時期として弥生時代に焦点を当て(テーマ2:弥生時代研究と年代測定)、さらに同時期の環境変動などへのアプローチとして、海洋・沿岸部の調査・研究に注目しました(テーマ1:年代測定を利用した海洋・沿岸部の調査・研究)。

 テーマ1に関しましては、「弥生の小海退」と呼ばれる現象など、弥生時代の文化と自然環境の関わりを考える上で重要な論点があります。今回は、14C年代測定を中心に、炭素・窒素安定同位体比の分析やOSL法を応用した研究など、様々な角度から海洋・沿岸部の調査・研究事例をご紹介頂きました。テーマ2としては、弥生文化のあり方を地域ごとに論じて頂き、さらにこの時期の14C年代測定に深く関わる暦年較正曲線の問題について取り上げて頂きました。

 1日目は、主にテーマ1に関わる5本のご講演を賜りました。

 小元久仁夫先生(日本大学文理学部)は、14C年代測定に携わってこられた45年間の研究成果について、本シンポジウムのテーマに関連する内容を中心にお話し下さりました。炭素の海洋リザーバー効果に注意した南極地域の地形研究や、AT(姶良Tn火山灰)の降下年代に関する研究の経過を紹介され、また完新世の海水準変動、特に「縄文海進」や「弥生の海退」に関して、仙台平野での調査成果と南西諸島のビーチロックを試料とした研究成果をもとに、汎世界的な水収支にも目を配りつつ問題点を整理されました。さらに東北日本における縄文時代の地域的な海洋リザーバー効果(ΔR)を検討し、14C年代測定を利用して編年を行なった最新の研究成果など、先生の多岐にわたるご研究の一部をご披露頂きました。その他、液体シンチレーション・カウンターを利用した高精度の14C年代測定装置を開発されたことなど、時間の制約からお話し頂けなかった内容についても予稿集に掲載されております。

 白井正明先生(首都大学東京都市環境学部地理環境コース)からは、OSL法を応用した砂質粒子の運搬過程に関する研究についてご講演を頂きました。OSL法の原理や測定方法などについてご説明頂いた後、砂質粒子の露光率に着目して熊野川から熊野トラフに至る砂質粒子の運搬過程を検討した事例研究を、動画を使ってわかりやすくお話し頂きました。

 宮地良典先生(産業技術総合研究所地質情報研究部門)は、ボーリングコア試料の堆積層解析、珪藻分析、14C年代測定に基づいて、新潟平野沿岸部における堆積環境変化と構造運動について論じられました。下位より河川性、湿地性、沖浜の堆積環境へと推移していく中、湿地環境の時期を中心に、14.8千年から9千年前頃にかけて繰り返し海水が浸入していたことが明らかになり、融氷パルスと断層活動の影響が考えられました。

 松本秀明先生(東北学院大学教養学部地域構想学科)は、仙台平野の地形環境について概説された後、七北田川流域に認められる洪水の痕跡と、沓形遺跡で検出された津波堆積物について、砂質堆積物の粒度組成と14C年代測定を利用した研究成果を紹介されました。沓形遺跡の津波堆積物は弥生時代の水田跡を覆うように検出され、さらに沿岸から遡上限界まで詳細に追跡されました。遺跡の考古学的な発掘調査と連動した研究であることも重要で、14C年代測定の幅広い有効性が示されました。

 石丸恵利子先生(総合地球環境学研究所)は、炭素・窒素安定同位体比を利用して、遺跡出土の海産魚類の産地を推定する試みについて論じて下さりました。現生魚類骨の分析によって日本海、瀬戸内海、太平洋の海域差を抽出した上で、遺跡出土魚類骨の分析結果を対比することにより、魚類の流通を遺物自体のデータに基づいて検討した事例を提示されました。安定同位体比は14C年代の補正にも関わるもので、年代測定の立場からも注目されます。

 ご講演の合間やご講演後に行われた質疑応答では、沿岸部の堆積環境の理解、14C年代におけるδ13C補正などについて、議論が交わされました。

 1日目閉会式の後、福島県文化財センター白河館「まほろん」に移動し、ちょうどこの日より始まった企画展「ふくしまの土偶」を見学させて頂きました。次いで「まほろん」に隣接する弊社白河分析センターの年代測定施設において、化学処理の工程や加速器を用いた測定方法など、実際に使う設備や機器をご覧頂きながら、ここで作業に従事している弊社社員が説明し、ご質問をお受け致しました。β線測定の装置については、長年この装置で測定を重ねられた木越邦彦先生が自ら説明して下さいました。

 2日目は、藤本潔先生(南山大学総合政策学部)によるマングローブ堆積物の年代測定を利用した研究に関するご講演で始まりました。タイやミクロネシアの沿岸部で調査されたマングローブ堆積物の形成過程とその年代から、過去の海水準の変動を読み取るとともに、

 マングローブ林の様々な役割や現状について解説されました。年代測定については、マングローブ泥炭全体を試料とする場合、堆積後の動植物による作用が測定結果に影響する可能性を考慮する必要があるため、1年ごとに剥がれ落ちるマングローブの樹皮を、産状に注意して採取し試料とするAMS法による測定が有効であると指摘されました。

 この後、考古学を専門とする先生方から弥生時代に関する3本のご講演を頂きました。

 根岸洋先生(青森県教育庁)は、青森・岩手県にまたがる馬淵川・新井田川流域の遺跡を中心に、縄文時代晩期から弥生時代への移行期における遺跡の分布や竪穴住居跡の面積などを詳細に分析し、「集落の統合」という居住戦略の変化がこの地域では晩期末葉に始まったことを考察されました。また、このような検討の前提となる土器の編年について課題を指摘し、現在得られている14C年代測定の成果をまとめられました。

 斎野裕彦先生(仙台市教育委員会)は、ご自身の主要なフィールドである仙台平野の弥生文化について、松本先生のご講演でも取り上げられた沓形遺跡など最新の調査成果をまじえてご紹介下さりました。また、九州の事例など、広く弥生文化に関して豊富なスライドを使って説明され、仙台平野、あるいは東北地方の弥生文化のあり方を全体の中で理解する視点を示されました。

 滝沢規朗先生(財団法人新潟県埋蔵文化財調査事業団)は、自ら調査された新潟県村上市の山元遺跡を中心に、新潟県と北陸地方における弥生時代後期の様相について論を展開されました。山元遺跡は、現在日本海側で検出されている最北の高地性環濠集落で、東北系土器圏に属し、青銅器が出土するなど、注目を集めております。滝沢先生は精緻な土器編年をもとに集落の動向をまとめられました。さらに、新潟県で実施された弥生時代遺跡の年代測定事例を集成し、一覧表で提示されました。

 2日目の最後に、坂本稔先生(国立歴史民俗博物館・総合研究大学院大学)より、弥生から古墳時代への移行期を中心に14C年代の暦年較正についてご講演を頂きました。近年、年輪年代で弥生時代頃に相当する日本産樹木年輪試料の14C年代測定が進められた結果、北半球で広く用いられる較正曲線IntCal09と系統的に異なる範囲があることが明らかになっております。北半球の較正曲線IntCal09、南半球の試料で作成された較正曲線SHCal04と合わせて比較すると、日本産樹木の年代値がそれらの間に位置することから、南北両半球間にある大気の境界の動きが14C濃度の地域差に関係している可能性を指摘されました。この問題は、弥生から古墳時代へ移り変わる過程を理解する上で極めて重要であり、今後の研究の進展が期待されます。

 5本のご講演を受けて、質疑応答が行われました。考古学の立場から年代測定に関わる場合の考え方や、14C年代と暦年較正の関係について、重要な議論が交わされました。

 以上、2日間で合計10本のご講演と、会場の参加者を交えた議論により、非常に充実したシンポジウムとなりました。

 ご講演の内容は、シンポジウム予稿集に論文として掲載されております。また、「話題提供」として、田中義文先生(パリノ・サーヴェイ株式会社)による「東北地方の最終間氷期以降の古植生変動」、種石悠先生(東京都教育庁)による「沖縄県宮古島市島尻長墓遺跡出土動物遺存体の年代測定と先島諸島先史文化研究(2)」の2編の玉稿をお寄せ頂きました。田中先生は、昨年の第4回シンポジウムにおける橋本真紀夫先生(パリノ・サーヴェイ株式会社)のご講演を引き継ぐ形で、さらに詳しく論じられています。種石先生の報告は、昨年の予稿集に書かれた後に実施した年代測定の成果を加えた考察となっております。さらに、昨年シンポジウムで議論された14C年代測定における測定試料の種類による年代差の問題に関して、早瀬亮介・小原圭一(弊社)が検討した「土壌試料の14C年代測定における前処理方法と測定値の関係 −笹山原No.16遺跡採取土壌を例に−」も掲載致しましたので、あわせてご覧頂きたいと思います。

 会場では、田中先生によるポスター(「話題提供」と同名)、パリノ・サーヴェイ株式会社による顕微鏡の機器展示、財団法人材料科学技術振興財団のパンフレットなどをご用意頂き、早瀬・小原のポスター(「話題提供」と同名)も掲示致しました。

 最後になりましたが、会場をご提供下さりましたホテルサンルート白河、施設見学にご協力頂いた福島県文化財センター白河館「まほろん」、並びに職員の皆様に多くのご支援・ご協力を賜りましたことを厚くお礼申し上げます。

第5回シンポジウム『年代測定と日本文化研究』

テーマ1「年代測定を利用した海洋・沿岸部の調査・研究」
テーマ2「弥生時代研究と年代測定」

日時:2010年9月25日(土)・26日(日)

場所:ホテルサンルート白河 2階「孔雀の間」(25日)・2階「富士の間」(26日)
   〒961-0856 福島県白河市新白河駅前
   1日目と2日目の間で会場となる部屋が異なりますので、ご注意下さい。

主催:「年代測定と日本文化研究」シンポジウム事務局(株)加速器分析研究所(IAA)

【 内 容 】

9月25日(土)(会場:ホテルサンルート白河 2階「孔雀の間」)

12:30 受付開始
13:00 開会行事
 (1)開会
 (2)主催者挨拶 シンポジウム事務局代表 松井隆雄(IAA代表取締役)
 (3)日程確認

13:10 1 「南極から美ら海まで−14C年代測定45年間の成果−」 小元久仁夫(日本大学文理学部)

13:50 2 「OSL法を応用した砂質粒子の運搬過程評価:紀伊半島熊野川から深海への砂の旅」
       白井正明(首都大学東京都市環境学部)

14:20 休憩

14:30 3 「新潟平野沿岸部の堆積環境変化と構造運動」
       宮地良典(産業技術総合研究所地質情報研究部門)

15:00 4 「仙台平野に残された大洪水および大津波による堆積物とその年代」
       松本秀明(東北学院大学教養学部)

15:30 5 「炭素・窒素安定同位体比による遺跡出土海産魚類の産地推定」
        石丸恵利子(総合地球環境学研究所)

16:00 質疑応答
16:15 1日目閉会式
16:40 施設見学(IAA施設など)
18:00 懇親会

9月26日(日)(会場:ホテルサンルート白河 2階「富士の間」)

9:30 受付開始

9:45 6 「マングローブ堆積物の年代測定−その意義と課題−」 藤本潔(南山大学総合政策学部)

10:15 7 「縄文晩期/弥生移行期における居住戦略の検討:馬淵川・新井田川流域を中心に(仮)」
       根岸洋(青森県教育庁)

10:45 休憩

10:55 8 「仙台平野の弥生文化」 斎野裕彦(仙台市教育委員会)

11:25 9 「山元遺跡と北陸の弥生後期」 滝沢規朗(新潟県埋蔵文化財調査事業団)

11:55 10 「較正曲線と日本産樹木−弥生から古墳へ−」
       坂本稔(国立歴史民俗博物館・総合研究大学院大学)

12:25 質疑応答
12:40 閉会

 

△ページの先頭へ戻る