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2009年9月 第4回「年代測定と日本文化研究」

9月26日、27日に、はくしんイベントホール(白河信用金庫東支店2階)にて、第4回のシンポジウムが開催されました。おかげさまで本シンポジウムも回を重ねるごとに参加者が増え、今年は初日に74名、2日目に64名と、多くの方々にお集まり頂きました。
詳細は、下記シンポジウム後記に・・・

会場風景

1日目の様子

▲会場風景1

▲開会挨拶事務局代表(IAA社長)

▲講演1:木村勝彦先生


▲講演2:橋本真紀夫先生


▲講演3:遠田晋次先生

▲講演4:卜部厚志先生

▲講演5:IAA早瀬

▲質疑応答

▲施設見学

▲懇親会
2日目の様子

▲講演6:小林謙一先生

▲講演7:杉山陽亮先生

▲講演8:神田和彦先生

▲講演9:菅原弘樹先生

▲講演10:久田正弘先生

▲質疑応答

▲質疑応答

▲閉会挨拶事務局代表(IAA社長)

第4回『年代測定と日本文化研究』シンポジウム後記

9月26日、27日に、はくしんイベントホール(白河信用金庫東支店2階)にて、第4回のシンポジウムが開催されました。おかげさまで本シンポジウムも回を重ねるごとに参加者が増え、今年は初日に74名、2日目に64名と、多くの方々にお集まり頂きました。

これまで旧石器時代から縄文時代へと徐々に新しい時代へテーマを進めて参りました。今年は縄文時代から弥生時代への移行期を取り上げ、その年代や、自然環境のあり方、文化の変化について、さまざまな分野の専門家にご講演頂きました。この時期に関しましては、近年特にその年代をめぐって活発な議論が行われております。土器編年を中心とする考古学的な手法に加え、放射性炭素年代、年輪年代など、さまざまなアプローチが組み合わされ、研究が深められて参りました。年代測定を実施する弊社にとりましても、特に興味深いテーマの一つです。

1日目は、まず木村勝彦先生(福島大学共生システム理工学類)から、年輪年代学の手法を用いた遺跡の研究の成果をお話し頂きました。新潟県青田遺跡で検出された掘立柱建物跡の柱根の年輪を検討することで、縄文時代晩期終末に営まれた集落の移り変わりを年単位で明らかにする試みは、最近の縄文集落研究の中でも特に注目される成果の一つです。石川県真脇遺跡やチカモリ遺跡など他の縄文晩期遺跡の研究も紹介されました。放射性炭素年代と組み合わせた暦年代の検討など、今後の展開が期待されます。

 橋本真紀夫先生(パリノ・サーヴェイ株式会社)は、関東・東北地方を中心に縄文時代から弥生時代への移行期の植生環境を論じて下さいました。この時期は気候が冷涼・多雨になり、「弥生の小海退」と呼ばれる状況となったことで、地形や植生など、さまざまな変化が起こりました。栽培植物の種実や草本類花粉の検出例が弥生時代以降増加することも豊富な分析事例をもとに説明されました。植生環境の変化は、耕作など人間の活動も深く関わっており、さまざまな側面の変化を検討し、地域ごとの特色を明らかにする必要性が指摘されました。

 遠田晋次先生(京都大学防災研究所地震予知研究センター)は、放射性炭素年代測定を利用した活断層研究について、縄文・弥生移行期頃の事例を中心にお話し下さいました(小俣雅志先生(株式会社アイ・エヌ・エー)との共同研究)。活断層の活動間隔と最新の活動時期を明らかにすることで、地震の発生確率の算定や危険度予測が可能になることが紹介されました。高精度の年代測定が実施され、このような研究が進められる中で、植物片・木片と土壌バルク試料の間に年代測定値の系統的ギャップが認められるようになってきていることが指摘されました。

 卜部厚志先生(新潟大学災害復興科学センター)からは、越後平野における地形発達史と遺跡立地の変化を関連させた研究について、縄文〜弥生時代を中心にお話し頂きました。沖積平野における砂丘の形成や広域にわたる沈降、扇状地における流路の変化といった現象が遺跡の立地に深く関わっていることが、詳細な事例研究によって論じられました。

 早瀬亮介(弊社)は、伊東裕輔ら弊社社員とともに福島県笹山原No.16遺跡の発掘調査現場において実施した年代測定試料の採取と、その測定結果について、古代と縄文時代前期の事例を中心に紹介しました。年代測定結果の評価には、試料そのものの特徴を確認することに加え、採取段階で出土状況に関する検討を行うことが重要であることを指摘しました。

 これらのご講演を受けて、質疑応答では活発な意見交換が行われました。特に遠田先生が指摘された年代測定試料の材質による測定値の違いについて、多くの研究者が各々の経験と見解を語って下さいました。その中で、考古学などの研究者が木片や炭化物の年代を基本的に扱うのに対し、地質学などの専門家が土壌の年代を重視する傾向がある、という違いが明らかになりました。

 1日目閉会式の後、福島県文化財センター白河館「まほろん」に移動し、施設を見学させて頂きました。福島県内で出土した多数の考古資料が収蔵・展示されており、とりわけよく整理された収蔵庫は各方面の専門家にとって参考となるものでした。次いで「まほろん」に隣接する弊社白河分析センターの年代測定施設において、化学処理の工程や加速器を用いた測定方法など、実際に使う設備や機器をご覧頂きながら、普段作業を行っている弊社社員より説明させて頂きました。

 2日目には、小林謙一先生(中央大学文学部)から、土器の編年と放射性炭素年代測定を組み合わせた、縄文時代から弥生時代の移行期に関する最新の研究成果をご報告頂きました。近年特に注目されたこの時期の年代に関して、北陸、関東、東北地方の主要な測定事例を中心に論じられました。

 杉山陽亮先生(八戸市教育委員会)は、ご自身の主要なフィールドである新井田川・馬淵川流域における縄文・弥生移行期の遺跡の様相について取り上げて下さいました。抉入柱状片刃石斧などの出土で注目された荒谷遺跡など、最新の成果を紹介され、遠賀川系土器、石器、遺跡の立地など多岐にわたってこの地域の特徴を詳説されました。

 神田和彦先生(秋田市教育委員会)は、秋田市地蔵田遺跡で検出された集落、その中でも土器棺墓に用いられた遠賀川系土器を分析し、秋田平野における縄文時代・弥生時代移行期の文化変化を論じて下さいました。属性分析によって土器棺墓の土器を1群土器と2群土器に区分し、焼成方法などの「非視覚的属性」を重視して両群の製作者が異なる可能性を指摘されました。

 菅原弘樹先生(奥松島縄文村歴史資料館)は、松島湾沿岸の貝塚・製塩遺跡の動向を中心に、仙台平野の遺跡とも対比しながら、この地域における縄文時代・弥生時代移行期の生業の変化を説明されました。縄文時代晩期までの貝塚が生活拠点的な性格を持ち、網羅的な漁撈形態がうかがわれるのに対し、弥生時代になると貝塚は減少し、小規模となり、その内容から専業的・選択的な漁撈形態へと変化したことが明らかにされ、その背景として稲作の受容による生業形態の再編が指摘されました。

 久田正弘先生(石川県埋蔵文化財センター)は、北陸地方における縄文・弥生移行期の土器編年をまとめられた上で、土器の型式学的検討と胎土の肉眼観察を組み合わせて、土器の搬入や模倣製作について論じて下さいました。この時期に見られる隆線連子文土器、遠賀川式土器などの特徴的な土器の動きを具体的な事例を示しながら説明して頂きました。

 2日目は、意欲的なご講演に加え、講演ごとに行われた質疑応答の結果、最後の質疑応答の時間が不足することになり、会場にお集まり頂いたご専門の方々には事務局として大変申し訳ないことを致しました。

 以上、2日間で10本のご講演と、会場の参加者を交えた興味深い意見交換により、非常に充実したシンポジウムとなりました。

 ご講演の内容はシンポジウム予稿集に論文として掲載されております。予稿集にはさらに「話題提供」として、町田賢一先生((財)富山県文化振興財団埋蔵文化財調査事務所)による「富山県における縄文時代の14C年代について」、種石悠先生(東京都教育庁・筑波大学大学院)による「沖縄県宮古島市島尻長墓遺跡出土動物遺存体の年代測定と先島諸島先史文化研究」の2編の玉稿をお寄せ頂きました。

 今回新たな試みとして、会場にてポスター展示を行いました。シンポジウムに直接関連するものとして、弊社で試料採取を行った笹山原No.16遺跡の年代測定結果をまとめたポスターと、付着炭化物の年代測定を行った土器を展示致しました。また、14Cを利用した年代測定以外の弊社の業務として、バイオマス度測定や薬物動態分析に関するポスターも展示させて頂きました。

最後になりましたが、会場をご提供下さいました白河信用金庫、施設見学にご協力頂いた福島県文化財センター白河館「まほろん」、並びに職員の皆様に多くのご支援・ご協力を賜りましたことを厚く御礼申し上げます。

第4回シンポジウム『年代測定と日本文化研究』

日時 2009年9月26日(土)・27日(日)
場所 はくしんイベントホール(白河信用金庫東支店2階)
主催 「年代測定と日本文化研究」シンポジウム事務局(株)加速器分析研究所(IAA)
内容

◆9月26日(土)

12:30 受付開始
13:00 開会行事
(1)開会
(2)主催者挨拶 シンポジウム事務局代表 松井隆雄(IAA代表取締役)
(3)日程確認
13:20 1「縄文晩期遺跡出土木柱の年輪年代学的解析による編年とフローティング・クロノロジーの作成」
      木村勝彦(福島大学共生システム理工学類)
13:50 2 「縄文時代から弥生時代移行期の植生環境 ―関東・東北地域から―」
      橋本真紀夫(パリノ・サーヴェイ株式会社)
14:20 休憩
14:30 3 「断層活動年代推定における1問題点:植物片・木片と土壌バルク14C年代値の系統的ギャップ」
      遠田晋次(京都大学防災研究所地震予知研究センター)・小俣雅志(株式会社アイ・エヌ・エー)
15:00 4 「新潟地域の縄文〜弥生時代における低地の遺跡立地環境の変遷と構造運動」
      卜部厚志(新潟大学災害復興科学センター)
15:30 5 「発掘調査におけるサンプリングの実践と遺跡形成過程の研究2」
      早瀬亮介(IAA)
15:50 質疑応答
16:05 1日目閉会式
16:30 施設見学(福島県文化財センター白河館「まほろん」)
17:00 施設見学(IAA施設)
18:00 懇親会

◆9月27日(日)

9:30 受付開始
9:45  6 「東日本における縄紋弥生移行期の年代測定研究」
      小林謙一(中央大学文学部)
10:15 7 「新井田川・馬淵川流域における砂沢式期の文化様相」
      杉山陽亮(八戸市教育委員会)
10:45 休憩
10:55 8 「秋田平野における縄文時代・弥生時代移行期の文化変化
       −秋田市地蔵田遺跡における遠賀川系土器の土器製作技術の分析から−」 
      神田和彦(秋田市教育委員会)
11:25 9 「貝塚からみた縄文晩期〜弥生における生業構造の変化 −松島湾沿岸の貝塚群を中心として−」
      菅原弘樹(奥松島縄文村歴史資料館)
11:55 10「北陸地方における縄文から弥生時代への移行期の様相」
      久田正弘(石川県埋蔵文化財センター)
12:25 質疑応答 
12:40 閉会式

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